アフリカの大地より
ケニア保健省エイズ対策局:澤崎 康
今から20年以上前の、エイズが今とは比較にならないほど怖がられていた時に、大切な人がエイズを発病し半年もしないうちに亡くなってしまいました。それが当時大学院で保健分野を専攻していた自分にとって、自分にはこれしかないと思い込んだ始まりでした。
その後「エイズ予防財団」で、リサーチレジデントから数えて20年、主に国際協力などの方面で様々な経験をさせていただきました。アジア方面のエイズ対策担当者との絆以外でも、国内では、全国の拠点病院の医療関係者はじめとする臨床の方々や、国立感染症研究所などの基礎研究の第一線の方、各都道府県のエイズ担当者の方々や、NGO関係の方々など、ほとんどすべての方面で皆さんにお世話になりました。なんだかんだ言う人もいますが、それでも日本の各方面の方々のそれぞれの働きは、海外と比べてもかなりよく機能していて、独自の良いサービスが提供されていると思います。こうした皆さんに、今後もプライド(自負)を持って、引き続き多くの人々に貢献されるよう、心からエールを送りたいと思います。
また個人的には、身の回りの在日外国人を中心に何人もの感染者の方が自分を頼ってきてくれたので、そのたびに病医院の方々に大変お世話になってきました。財団での仕事のかたわら、こうしたことで個人的に駆けずり回っていたことが、ある意味、自分の仕事の支えになっていた気がします。
今年の6月より日本を離れ、遠くアフリカのケニアでHIV/AIDSの専門家の仕事に就きました。ケニアは、以前より少なくなったとはいえ、それでも成人人口の6−7%が感染して、HIVはとても「身近」です。実際この国のエイズ対策はWHO,UNAIDSなどのモデルにもなっているほど、いろんな面で革新的、充実しています。自分はHIVの「専門家」としてきているのですが、実際は学ぶことの多い毎日です。