ソニーと世界基金がHIV/エイズ行動変容プロジェクトでパートナーシップ

 途上国のエイズ予防啓発活動を推進するため、ソニーが世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)と協力して行動変容プロジェクトを進めることになりました。世界基金は11月17日付けで《ソニーと世界基金がHIV/エイズ予防の行動変容プロジェクトでパートナーシップを構築》と題するプレスレリースを発表しています。また、ソニーの発表によると、タンザニアではすでに11月1日から14日までの間に、ソニーの映像・音声機材とソニーグループの映画や音楽コンテンツを活用し、HIV/エイズ予防啓発を支援する「パブリックビューイング・イン・タンザニア」が4地域6か所で実施されています。このパブリックビューイングには《6か所合計で4,700人の参加者を集めました》ということです。

 世界基金のプレスレリースは、日本語訳が世界基金支援日本委員会のサイトに掲載されています。
 http://www.jcie.or.jp/fgfj/1117GF_PressRelease_J_F.pdf

 「パブリックビューイング・イン・タンザニア」に関するソニーのプレスレリースはこちら
 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201111/11-148/

 世界基金の主要ドナーは日本も含む各国政府ですが、官民のパートナーシップを重視する世界基金側は、企業に対する支援の呼びかけにも力を入れています。日本では武田薬品が世界基金を通じたアフリカの保健人材育成のためのタケダ・イニシアティブを発表し、2010年から2019年までの計10年間に10億円の拠出を約束しています。ソニーの場合は2010年のサッカーW杯南アフリカ大会の際にカメルーンとガーナでHIV/エイズの流行拡大防止を目的とし たパブリックビューイングを実施しており、この経験を生かして同様の国際貢献プログラムをさらに拡大していくことになったようです。

 2002年に発足した世界基金はこれまでに150カ国600以上のプログラムに総額224億ドルの支援を承認しており、途上国のエイズ・結核・マラリア対策を支える主要な資金源となっています。日本政府が2000年の九州沖縄サミットで、エイズを中心にした途上国の感染症対策には新たな追加的資金が必要であるということを強調し、議長国としてG8の各国首脳に行動を促したことが創設のきっかけになったことから、わが国が世界基金の生みの親といわれることもしばしばあります。国際保健分野における外交上の極めて大きな成果であり、民間の企業が、専門的な技術や知識、人材などの強みを生かしてその成果を一段と実りある者にする貢献に取り組むことは大いに評価したいですね。同時に国内のHIV/エイズ対策にも目配りをしていただき、感染症分野における国際貢献と国内課題の解決を有機的につなげていけるような流れを生み出す力になっていただくことも期待しておきたいと思います。