「震災復興とコミュニティの再建:途上国からの視点」と題した記者会見には、イラクで子供たちの医療支援活動を行うムハンマド・イブラヒムさんも同席した。
東日本大震災では、途上国から「今度は自分たちが日本を助ける番だ」と支援の申し出が相次いだ。わが国にとっては、地球規模の様々な課題とその解決のための国際支援の重要性を再認識する機会でもあった。
会見ではまず、貧困解消と取り組む国際キャンペーンSTAND UP TAKE ACTIONの国内担当者の一人であるアフリカ日本協議会の稲場雅紀氏がタマエさんらの被災地訪問について、「私たちはひとりではない」「力は現場にこそある」という2つのメッセージを伝えるものであると説明した。
石巻市と同様、津波被害を受け、内戦が激化する中でコミュニティ再建に取り組んできたバサンタカラさんは、再建には長い時間がかかることを強調し、定住住宅と漁業など生活基盤の確保が重要だと語った。現在は復興が90%成し遂げられた状態であり、被災地ではいろいろな人が共同で生活する場面も増えるため、良好な関係を築くさまざまな催しを通して絆を失わないようにする配慮も必要だという。
南アフリカでHIV陽性者の自助グループを結成したタマエさんは、自らもレイプでHIVに感染した体験を持ち、「私はレイプサバイバー(生存者)であり、HIVサバイバーです」と語った。犠牲者から生存者へと発想を転換し、「自分に起こったことを受け入れて前に進むことが大切」と考えたからだ。
石巻ではタマエさんが自らの体験を語ったところ、被災者の一人も「こんな話をするのは初めてです」といって自分の話を始めたという。タマエさんは「相手の話を聞こうとするよりも、相手が自ら話したくなるのを待つことが必要だ」と支援における信頼関係構築の重要性も指摘した。会見の模様はYou Tubeの日本記者クラブチャンネルで見ることができる。
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2011/10/r00023386/