〜公益財団法人エイズ予防財団の木村哲理事長が日本記者クラブで会見〜
http://www.youtube.com/watch?v=m86vxjjKVK0&feature=plcp
画面の左から日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+)の長谷川博史代表、木村理事長、司会の日本記者クラブ宮田一雄企画委員(産経新聞特別記者)ということで、エイズ対策関係者から見るとちょっと濃いめのラインアップでしょうか。
「予防」の文字が入っているとはいえ、感染症法に基づくエイズ予防指針は医療の提供体制やHIV陽性者への支援にも言及しています。HIV/エイズ分野に対する政治のリーダーシップなど望むべくもない現状では、この指針がほぼ唯一の総合的なエイズ政策指針といっていいでしょう。ほぼ5年に1度の改正作業を経て今年1月、新指針が告示されていますが、ジャーナリストの間ですら、エイズ予防指針? それ何ですか・・・といった状態であることから、厚労省エイズ予防指針作業班の班長として改正作業の中心的な役割を担ってきた木村理事長を日本記者クラブが招き、今回の記者会見となりました。
会見内容は動画を見てもらえばいいのですが、ごく手短に要点だけ報告して起きましょう。木村理事長は、世界と日本の流行の現状について簡潔に説明した後、エイズ予防指針改正のポイントとして、治療の進歩を踏まえた検査相談体制の充実や行政・NGO・研究者の連携の重要性などを強調しました。
また、こうした見直しの背景として、2006年から5年間にわたるエイズ予防の戦略研究の影響が大きかったことに言及し、首都圏の男性同性愛者のコミュニティでは、研究者とコミュニティ当事者が協力して多様な予防啓発活動に取り組んだ結果、エイズ患者報告数が減少するなどの成果が具体的にあがっていることを紹介しました。
会見に同席したJaNP+の長谷川代表は、こうした研究の成果を生かすかたちで、2年前から国内のエイズ啓発キャンペーンのテーマ策定プロセスが大きく変わったこと、コミュニティアクションという新たな情報共有キャンペーンが展開されていることなどを報告しています。わが国のエイズの流行については、治療の普及によるHIV陽性者の生活の質の向上や感染の予防効果に期待が高まる一方で、エイズに対する社会的な関心の低下が新たな感染拡大要因となることへの懸念も強いだけに、情報の共有を通してNGO間、およびNGOと行政・研究者間の連携の土台が生まれようとしていることは極めて興味深い動きといえそうです。
この点については木村理事長も、今後の展望の中で流行の克服に向けた希望的な見通しを明らかにするとともに、エイズ予防財団が研究者、行政、NGOの連携のプラットフォームとなることに大きな期待と意欲を示していました。