米国のオバマ大統領が世界エイズデーを前に声明を発表

 世界エイズデーに向けて、米国のバラク・オバマ大統領が11月29日、声明を発表しました。オバマ政権が掲げる「AIDS Free Generation(エイズのない世代)」というビジョンについては一抹二抹三抹の危惧を感じないこともありませんが、目指すべき目標ということでまあ受け止めておくとして、政治の指導者だったら、どんなに忙しくたって、世界エイズデーにはこのくらいのアピールはしてほしい。大忙しの日本の政治家の皆さんにもあえてそう言いたいですね。全部が全部とは言わないし、少なくとも半分ぐらいはとか、せめて10%は、みたいなぜいたくもいいません。ホントにもう1人か、2人か、3人か、政党の数よりはるかに少なくてもよろしいので、ちょっとは考えていただけるとうれしいんだけど・・・。そういう知恵が働く人は、政府にも、これから政府を動かすであろうと心ひそかに(ときには露骨に)思っている人の中にも、いないのかねえ。

 米国務省では同じく11月29日に、クリントン国務長官がPEPFAR Blueprint: Creating an AIDS-free Generationというのを発表しています。《米国政府はどのようにして「エイズのない世代」の実現を助けるのか》についてのロードマップ(工程表)ということです。


世界エイズデーのための大統領声明
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2012/11/29/statement-president-observance-world-aids-day

12月1日の土曜日は世界エイズデーです。私たちが世界中でHIV/エイズの流行に影響を受けている人と共にあることを示し、亡くなった人たちを偲び、この世界的大流行を終結に導くための決意を新たにする日です。私たちはこの病との闘いに大きな成果を上げ、エイズのない世代の実現も視野に入ってくるようになりました。ここアメリカ合衆国では、国家HIV/エイズ戦略を策定し、ゲイ男性やラテン系、アフリカ系アメリカ人などHIV陽性率の高いコミュニティに対策の努力を集中的に傾けています。Affordable Care Act(医療保険制度改革法)を通じて、感染を予防し、すべてのHIV陽性者が長く生きていくための治療を受けられるようにすることを目指し、包括的HIV予防とケアに投資を行っています。HIV検査の普及は依然、最優先の政策であり、医科学研究の進歩により、自らのHIV感染の有無を確認することはこれまで以上に容易になり、治療もより効果的になっています。

新たなデータが本日、政府から公表されました。嬉しいことに、昨年の世界エイズデーで私が宣言した治療と予防を両立させる野心的目標が、軌道に乗っていることを示すものです。私たちは現在、生命を救うエイズ治療を500万人に提供しています。2008年当時より170万人も増えているのです。昨年も約束したように、2013年末までに600万人に治療を提供するという目標は軌道に乗っています。私たちは今年、70万人のHIV陽性の妊婦にも抗レトロウイルス治療を提供しています。その結果として、赤ちゃんはウイルスに感染せずに生まれてくることができます。こうした目標を達成するためには、多くの人が生きていけるようにさらに努力を重ねるという私たちの方針を共有する多くの国々や世界エイズ・結核・マラリア基金の協力が必要です。世界中、および国内のたくさんのパートナーとともにこの重要な仕事を進めていくために、いま、エイズで亡くなった人たちのことを思い出しましょう。私たちが達成してきた成果を祝福しましょう。そして、エイズのない世代という共通の目標に向けて努力を続けていくという決意を互いに新たにしましょう。