国際エイズ学会(IAS)がインド大統領に公開書簡

 国際エイズ学会(IAS)が、同性愛行為を犯罪として扱ってきたインド刑法377条に対する重大な懸念を表明し、インドのプラナブ・ムカルジー大統領に宛てて公開書簡を出しました。インド最高裁が今月月5日、377条を違憲とする2009年デリー高裁判決を棄却する決定を行ったことから《このような逆行した判断は、インドのHIV対策を大きく後退させるもの》として深い失望感を明らかにしています。

 公開書簡の日本語仮訳をHATプロジェクトのブログに掲載しました。
 http://asajp.at.webry.info/201312/article_4.html

 知ったかぶりではありますが、ごく短く経過を説明した(解説)を再掲しておきます。

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(解説) インド最高裁は12月11日、同性間の性交渉を違法とする判断を下しました。いきなりそう言われても背景が分かりにくいので、CNNのサイトに掲載された当日のニュースを参考にしてで経緯を紹介しておきましょう。
 http://www.cnn.co.jp/world/35041254.html

 インドでは英国植民地時代から残る刑法377条により、同性間の性関係は犯罪と見なされてきましたが、2009年にデリー高裁がこの条項を違憲とする判決を出しています。キリスト教、ヒンズー教、イスラム教の団体がこの判決を不服として上訴し、最高裁により高裁判決が覆されたということです。インド政府は「高裁との意見の相違はないとして、上訴には加わっていなかった」ということなので、行政と司法の間にねじれが起きてしまいました。

 国際エイズ学会(IAS)は今回のインド最高裁の判断に深い憂慮を表明し、プラナブ・ムカルジー大統領宛に公開書簡を提出しています。以下は12月17日付でIAS公式サイトに掲載されたその公開書簡の日本語仮訳です。書簡にはフランソワ・バレ-シヌシ理事長をはじめとする役員の署名が付され、日本からも岩本愛吉理事が署名しています。

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 なおデリー高裁判決については、2009年7月のHATプロジェクトのブログに《同性間の性行為を犯罪として扱う法律を無効としたインド・デリー高裁の歴史的決定を国連合同エイズ計画(UNAIDS)が歓迎》というUNAIDSのプレスリリースの日本語仮訳が掲載されています。あわせてご覧ください。
 http://asajp.at.webry.info/200907/article_2.html