『HIV AND AGING』

 イベント情報ですでに紹介してありますが、来週はHIV陽性者の高齢化にどう対応するかというテーマを取り上げたイベントが2つ、東京で予定されています。

 12月18日(水) 『どうする? HIV陽性者高齢化時代』
          (エイズ&ソサエティ研究会議)

 12月21日(土) HIV感染者の高齢化時代を迎えて −療養・介護が抱える問題を考える−
          (東京HIV診療ネットワーク)

 テーマが重なっているようにも見えますが、大きく分けて考えると、18日のフォーラムは社会福祉施設から、そして21日の講演会は医療機関からの報告ということになります。どちらも重要ですね。重なっているというよりも、複眼的に課題をとらえる絶妙のコンビネーションといった印象でしょうか。

 高年齢層のHIV陽性者への支援や治療の提供、ならびに高齢化に伴う様々なニーズへの対応は、世界の共通課題でもあります。国連合同エイズ計画(UNAIDS)は11月1日に「HIV AND AGING」という報告書を発表し、低中所得国ではHIV陽性者人口の10%、欧米や日本などの先進諸国では30%が、50歳以上の中高年層で占められていると指摘しています。

 UNAIDSは今年9月24日に『世界のエイズの流行2013年版』(2013 Report on the Global AIDS epidemic)を公表しており、AGING報告書はその補足という位置づけです。高年齢層のHIV陽性者への支援はこれまで見過ごされてきた分野であり、UNAIDSとしても注意喚起の必要性を感じているということでしょうね。報告書では、高年齢化傾向の要因として次の3点を挙げています。

 ・抗レトロウイルス治療の効果でHIV陽性者が長く生きていけるようになった。
 ・若者のHIV感染が減ってきた結果、陽性者の年齢構成が相対的に高い層に移行している。
 ・中高年層にも感染防止策をとらない性行為や注射薬物使用など感染リスクを高める行動が見られる。

 AGING報告書に関するUNAIDSのプレスリリースは、HATプロジェクトのブログに日本語仮訳が掲載されています。
 http://asajp.at.webry.info/201311/article_3.html