2015年度世界エイズデー国内キャンペーンテーマについて

 厚生労働省と公益財団法人エイズ予防財団が主唱する2015年度世界エイズデー国内啓発キャンペーンのテーマが上記のように決まりました。
 コミュニティアクション(ca-aids)もこのテーマを積極的に活用しつつ、コミュニティ主導のキャンペーンを応援していきます。その手段の一つとして、テーマの趣旨をより明確に把握していただくため、ca-aidsバージョンのコンセプトノート、および背景説明を作成しました。あわせて掲載しますので、適宜ご利用いただければ幸いです。

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コンセプトノート(テーマに込めたいメッセージ)
 エイズの流行は続いています。HIV感染の拡大を防ぎ、同時に感染した人たちが安心して生活していける社会的条件を整えていく。この両方が必要なことはすでに国際的な共通認識となっています。30年を超えるエイズとの闘いの経験から、困難な流行の克服には、つまり効果的な予防対策には「予防、治療、支援、そして理解」のすべてが大切です。

背景説明
 エイズ動向委員会がまとめた2014年の新規HIV感染者・エイズ患者報告件数の合計は1546件でした。前年の1590件よりは、わずかに減少したとはいえ、1500件前後の報告がすでに8年も続いています。しかも、年齢層別に見ると昨年は20代の新規感染報告が349件で過去最高となっています。感染経路別に見ると、全体の感染報告の傾向と同様、20代の感染もその多くが男性同性間の性感染と考えられます。

 昨年のテーマ「AIDS IS NOT OVER〜まだ終わっていない〜」は動向委員会報告でも裏付けられるかたちになりました。趨勢は今年も変わっていません。テーマの前半部で今年も「AIDS IS NOT OVER」を引き継ぐことになったのはこのためです。

 複数年にわたるメッセージの継続をはかりつつ、「終わっていない」という現状認識から、つまりここから、行動へと一歩踏み込んでいくには、HIV陽性者とその周囲の人(パートナー・友人・家族・職場の同僚他)、HIVのことに関わる人、これからHIVのことを考えようと思う若者などが、HIVについて話せる環境を整えること、一人一人がそのハブになることが大切です。

 治療は進歩していますが、HIV陽性者のメンタルヘルスはあまりよくありません。自死する人もいます。HIV/エイズに植え付けられたイメージが、告知のしづらさを生み、問題を見えづらくしているのです。HIV陽性者にとっての生きづらさが、リアリティの欠如を生み、社会的な関心が低下する要因になっているとすれば、それはHIV検査を受けるという行動を妨げることにもなります。

 一方で、情報や知識が十分に伝わらないことから、HIV陽性者とどう関わってよいかが分からず、戸惑っている人も、とくに若い世代には多いようです。情報を伝えることが偏見や差別を解消する契機になれば、HIV/エイズに植え付けられたイメージを変えていくことにもなります。